代表山川よりみなさまへ② 「時は待ってくれない」

「3年間で何としても事業基盤を確立しよう」

「そのため年間1000kWの建設は必達目標」

「これからは、責任を明確にして結果を求めていく」

わたしがことあるたびに社内に語りかけ、外部にも公言してきたことばである。

一般の企業だったらごく当たり前のこんなことばも、市民活動から生まれたわたしたちの事業体メンバーにとっては違和感があった。今まで仲良く一緒にやってきた仲間に対して、強い言葉を発するのは心が痛む。

「なんでそんなに急ぐの?」

「自然体でやっていけばいい」

「相手がある。無理してもはじまらない」

あちこちからそんな声が聞こえてくるのだが・・・。

時は待ってくれない。いま必要なことは、FIT(電力固定価格全量買取り制度)という法律が事業者の採算を考慮した売電価格を保証してくれている3年の間に何が何でも一定量の仕事を達成することである。時を逃せば価値はどんどん逃げていく。

昨年7月FITが施行され、高い売電価格が発表されると、堰を切ったように、つぎつぎに事業者が名乗りをあげ、全国各地にメガソーラーが誕生した。それに引きずられるように、今年は売電単価も1割下がった。来年はもっと下がる。自分たちが初年度1kWあたり42円というご祝儀価格をつかみそこねている間に、一般営利事業者はしっかりキャッチして先行者利益を確保してしまっている。自分たちなりに全速力で走ってきたつもりでも、すでに周回遅れ。そこが市民感覚とビジネス感覚の決定的な違いなのだと思う。

仲良く、楽しく、みんな一緒に、という市民団体のもつ体質の裏にある甘さを排除して、厳しいビジネス感覚を身につけないと市場から退場を命じられる。